スマートファクトリーの取り組み~製造業現場の声~

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インダストリー4.0とスマートファクトリー

インダストリー4.0というフレーズが生まれて、8年が経ちました。

インダストリー4.0とは、ドイツが進めている国家プロジェクトで、第4次産業革命を意味しており、そのコンセプトは、「スマートファクトリー」です。この「スマートファクトリー」という先進的な工場は、工場内の機械がインターネットに繋がっていて、モノの情報をデジタル化することで、工場自体が効率化を考えることができます。

その結果、大量生産に近い生産性を保ちつつ、個々の顧客のニーズに合う商品やサービスを生み出す、マスカスタマイゼーションが可能になります。ドイツは、スマートファクトリーを実現することで、製造業のレベルアップを目指しています。

これに追随するように、日本では、2017年に日本の産業が目指すスタイルとして、コネクテッドインダストリーズを発表し、第4次産業革命を進めていく考えを示しました。

製造業現場の声

では、製造業の現場では、どのような課題があり、スマートファクトリーにどのような期待を抱いているのでしょうか。保守業務について考えてみたいと思います。

製造業では、単一の製品を大量に製造する場合、ライン生産方式によって生産性を高めていきます。ただ、製造装置が故障して製造ラインが停止してしまうと、生産性がダウンしてしまいます。もし、製造ラインが3日間停止してしまうと、数百万円もの経済的損失を出してしまう大手ベンダーもいるそうです。

そこで、製造ラインを停止させないために、製造装置に対して定期的なメンテナンスを行います。しかし工場現場では、この定期メンテナンスの時間を削減したり、メンテナンスする期間を長くしたり、製造装置を可能なかぎり故障する直前まで使い続けたりすることで、コストの削減をしたいと考えています。

私たちのお客様からはスマートファクトリーによって、工場が自ら「この装置がそろそろ壊れるから交換してほしい」と伝えてくれるようになってほしいという声がありました。

現場の声から生まれたFactory IoT – SAP Leonardo 連携

そのような製造業のお客様の声をもとにして、私たちは保守業務を改善するソリューション「tdi Factory IoT – SAP Leonardo 連携」を構築しました。

ドイツのインダストリー4.0を民間企業として支えているSAPジャパン株式会社の基幹システムパッケージであるSAP S/4HANA、ならびにそれをとりまくSAP Leonardo(※)と、当社tdiのグループ会社であるTDIプロダクトソリューション株式会社(TDIPS)の「Factory IoT」を連携したソリューションになります。

SAP Leonardoとは総合的なデジタルイノベーションシステムです。

SAPジャパン株式会社には「SAP Leonardoーデジタルイノベーションシステム」という、データの収集~分析・判断~実行までをリアルタイムで実現することを支援するサービスが存在しており、その中には「モノのインターネット(IoT)サービス」や「機械学習(MachineLearning)サービス」などが含まれています。

このサービスを活用して工場装置からモノの情報をデジタル化し、SAP LeonardoのIoTサービスに連携することで、IoTデータを基幹システム(SAP S/4HANA)で利用することができます。

SAPの新たなる戦略「SAP Leonardo」は一体何を目指すのか? より

当社の「tdi Factory IoT – SAP Leonardo 連携」ソリューションのポイントは、以下の2点です。

1.モノの情報をもとに、故障の予兆を検知

電流、電圧、音、振動など、製造装置が発するモノの情報をデジタル化して、故障の予兆となる数値が発生すると、アラートを出す仕組みにより、製造ラインの突然の停止を未然に回避することができます。

2.基幹システムと連動することで、業務の効率化

メンテナンスした結果、製造装置の部品交換などが発生する場合があります。SAP S/4HANAのプラント保全機能を利用しているユーザは、部品交換の調達、在庫管理をシステムで行っております。「Factory IoT」からIoTデータを連携されることで、対象となる部品の在庫状況を把握し、不足している場合は、購買発注する、という業務の流れをスムーズに行うことが可能になります。

そして、将来的には、IoTデータをSAP Machine Learningによって分析し、故障の予兆検知の精度を向上できれば、予知保全、すなわち、工場が自ら「この装置がそろそろ壊れるから交換してほしい」と判断し、さらに在庫状況に応じて調達業務も自動で行うことが可能になると考えます。

課題

IoTデータを有効活用するためには、「データの定義」が必要です。ただし、この「データの定義」を行うためには、大量のデータと期間が不可欠です。

また、同じ製造装置でも、設置場所の違いによって、微妙に湿度、温度、風量などの環境の違いがあり、故障のタイミングが違う場合もあるため、データの定義には、根気よく取り組む必要もあります。

この点は、AIの技術を活用することで、改善を図っていきたいと考えております。

スマートファクトリー将来の展望

スマートファクトリーの効果は保守業務のコスト削減だけではありません。

日本は少子高齢化で、放っておけば労働力は低下し、すなわち生産量は低下してしまいます。もし、人的労働力をテクノロジーで補う事ができたら、日本の経済力の低下を防ぐことができます。

日本には、製造業において、世界に誇れる職人が数多く存在しております。職人によって作られたIoTデータを活用することで、日本独自のスマートファクトリーを構築し、日本の経済を盛り上げていきたいと思います。

IoTソリューションについてご相談などございましたら、こちらからお問い合わせください。

よろしくお願い致します。

お問い合わせ先

執筆者プロフィール

Mibe Mitsunori
Mibe Mitsunoritdi ITコンサルティング部
町工場の多い東京都大田区出身。設計・開発を経験し、現在ERPプロジェクトに参画中。
日本を支えているのは中堅、中小企業であり、苦戦している中堅、中小企業を支援したいと考えております。
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