地方版IoT推進ラボ参加レポート――デジタルデバイドから救うには

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地方部が抱える課題

IT技術の普及により、インターネットに接続すれば国境を越えてどこへでもネットワークにつながることができるようになりました。ところが、地方部は過疎化によるIT人財不足、高齢化による情報端末の利用者の減少によって、デジタルデバイド(情報格差)が進む傾向にあります。そして、デジタルデバイドが進めば、ビジネスチャンスが減少して産業が縮小し、貧富の差が広がれば若者が流出し、さらなる過疎化が進むという悪循環に陥ります。

この課題を解消するためには、IoTやAI、ビッグデータなどのデジタルテクノロジーを活用しながら、地方部特有の新たな価値を生み出す必要があります。すなわち、地方部こそIT技術を活用することが重要なのです。

地方版IoT推進ラボとは

そこで、地方部でIT技術を使ったビジネス創出を加速するために、経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は「地方版IoT推進ラボ」を2016年に設立しました。2019年8月時点で、93か所の地方部で活動しています。

今回我々は、地方部の課題であるデジタルデバイドをtdiのIT技術で解決したいと考え、地方版IoT推進ラボ第四弾で選定された19地域のうち、岩手県に参加してきました。岩手県の地方版IoT推進ラボは、岩手県・岩手県立大学・滝沢市が主催し、SAPジャパン株式会社が協力した取り組みになります。

タイムスケジュールは、1日目に岩手県の説明、特徴や経済状況を説明して頂き、その後、岩手県内の3企業を訪問するフィールドワークを行います。2日目は、グループに分かれてデザインシンキングを行うという内容でした。

日本有数の豊富な資源を有する岩手県

1日目は、主に岩手県に関する情報を入手するフィールドワークを行いました。約80名の参加者が2台のバスに分乗して、畜産、工業、農業、それぞれの分野で活躍されている岩手県内の3企業を訪問しました。

岩手県は北海道に次ぐ全国第2位の総面積を持ち、その広大な土地で日本有数の豊富な資源を有しています。日本で自給率100%を超える数少ない県であり、農林水産業では、なんと生産量が全国1位である商品が8種類も存在しています。ところが、県外からの参加者の反応を見ると、そのことがあまり周知されていないように思えました。

いわてお国自慢(平成30年度県政要覧より) 

また、主要な流通網である東北自動車道が走っているため、内陸部には工業団地が発達。自動車や半導体など製造業大手の工場が集積していますが、従業員ひとり当たりの製造品出荷額は全国38位、付加価値額に至っては43位と、生産性の向上が目下の課題のようです。

岩手ブランドを世界へ発信するためのデザインシンキング

2日目は、フィールドワークで得たインプット情報をもとに8グループに分かれてデザインシンキングを行いました。各グループに専属のファシリテーターをつけて、前日のフィールドワークの情報をチーム内で共有するとともに、「世界に発信できる岩手ブランド」について、議論を重ねました。

最後に、各グループから1案、新しいビジネス企画を発表しました。私のグループからは、全国1位の生産量を誇る木炭を使い、他業種とコラボできる商品を提案しました。結果、「社会的なインパクトがある」との評価で1位に選出していただき、記念品として岩手県のマスコットキャラクター「そばっち」のぬいぐるみをいただきました。

今後の取り組み

今回は、あくまできっかけづくり。今後は、ビジネスの具体化を目指してアイデアを研鑽し、岩手県の課題を解消するソリューションを実装していくことになるかと思います。今回訪問した岩手県に限らずその他の地方部においても、当社のIoTソリューションや最新IT技術を用いて地方部を活性化する活動を継続的に進めていきたいと思います。

tdiのIoTソリューションサービス

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執筆者プロフィール

Mibe Mitsunori
Mibe Mitsunoritdi ITコンサルティング部
町工場の多い東京都大田区出身。設計・開発を経験し、現在ERPプロジェクトに参画中。
日本を支えているのは中堅、中小企業であり、苦戦している中堅、中小企業を支援したいと考えております。
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