その仕事、AIに任せませんか?~オリンピックから見えたAIの得意分野とは~

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はじめに

オリンピックイヤー2020年がやってきました。

全世界の注目を集めるオリンピック・パラリンピック大会では、いつも様々なハイテクノロジーを駆使した技術の応用が期待されています。今日は、そのハイテクの一つ、AIの話をしましょう。

近年、第三次AIブームとも言われる中、数多くの会社がAIによる業務改革や改善を期待しています。しかし、AIは万能ではありません。“どのような仕事をAIにまかせるか”をきちんと分析しないまま導入すると、期待する効果が出ないかもしれません。

今回は、東京オリンピックという世界一のイベントにおいて、どのような仕事をAIに任せているのか、AIの得意分野を分析したいと思います。

絶対公正な採点をこなす――AI審判員

オリンピックの体操競技を管轄する国際体操連盟は、人間の目視による誤審を防ぎ、より公平、公正な競技ができるように、AIによる自動採点を導入することに決めました。採点するための一つ一つの基準を数値化し、大量の教師データをもとに「技の辞書」を作ってAIに学習させ、そして競技中は選手のデータと照合して採点を出す。このAIは既に2019年10月に行われた体操の世界選手権で導入され活躍しました。2020年のオリンピックの体操競技にも採用される予定です。*注1

AIが審判員の仕事に向いている理由は、大量のデータ分析による正解率です。AIが数値で選手のパフォーマンスをジャッジすることで、環境や人間の判断による個人差をなくすことが期待されています。

一方、AI採点はあくまでも機械のため、技術点をデータにより正確的に判断することはできますが、芸術点の判断は難しいのではないかと懸念されています。選手たちが情熱をもってパフォーマンスに取り込む表情や、力がなくなっても一生懸命頑張っている姿が、我々を魅了するスポーツ精神の重要なポイントであり、高く評価したいところです。しかし、このようなところをAIが判断するのはまだ難しいです。

不眠不休なメディアマン――AI記者

オリンピックは主催国だけでなく、参加国も先端技術を駆使して全力で大会を盛り上げようとしています。各国のメディアが総動員し、最新のニュースと感動のシーンを一秒でも速く届けるように努力しています。そんな中でAI記者が登場しています。

2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、アメリカの新聞社「ワシントン・ポスト」や中国のニュース配信サービス「今日頭条」等がAIを記事作成に導入したことが大きな話題となりました。*注2

AI記者導入による一番のメリットは、記事作成の速さです。試合後「今日頭条」が配信した結果速報の記事について、味気なく機械的だと批判する人も多いものの、その圧倒的な速さで、人間が作った後継記事を大きく上回るPV数を獲得しました。

そして、AIをメディアの仕事に取り入れるもう一つのメリットは、24時間休むことなく働けるところです。たとえば、音声データのトレーニングをしたAIアナウンサーが既に日本、中国で実用化されており、長時間のニュース読み上げだけでなく、緊急時の放送等にも活躍が期待されています。

語学力と記憶力の超能力者――AIガイド

オリンピックの開催に伴い、外国人観光客の増加が予想されています。人手不足が深刻化している中、如何に観光客に対して最高のおもてなしができるかという課題の解決策として、AIガイドが挙げられました。

AIガイドが観光業界での活躍が期待される一番の理由は、多言語に対応できるところです。人間の能力には限界がありますが、AIガイドは一台で、日本語、英語、フランス語…多数の言語に変換することができ、何人分もの仕事をこなします。また、大量の線路情報、施設情報を蓄積でき、欲しい情報を素早く見つけられるという点も、観光業界での活用につながる大きな利点です。

まとめ

さて、どのような仕事でAIが活躍できそうでしょうか。

業界や業務の特徴によって、重要視するポイントが異なります。人に仕事を任せる時「適材適所」が大事なのと同じように、AIも「得意分野」が存在します。客観性、正解率、大量の経験データによる分析、速さ、24時間稼働、多言語対応…このような能力が求められている業務には、AIの導入によって大きく改善される可能性があります。例えば、

金融業界――経済変動に対する素早い反応が望ましい
医療業界――蓄積された大量の知識から正解率の高い判断が必要
デスクワーク業務――属人化の解消、24時間の対応が期待される

いかがでしょうか。あなたの職場でも、AIスタッフが活躍できるかもしれません。得意分野の仕事が任された時にこそ、AIがきちんと役割を果たしてくれます。

番外編:正解率が高くなくてもいいAI?

AIに仕事を任せる場合のほとんどはAIに正解率を求めていますが、そうでもないときもあります。某タピオカ専門店では、注文時に書いた質問に対するAIの答えを、商品のふたにプリントするサービスを導入しています。このAIによる一問一答を店のコンセプトとして宣伝し、大ブレークしました。

では、買いに来るお客様は、本当にAIに正解を求めに来ていますか?恐らく違います。そう、ここはAIを使うこと自体が目玉となり客を集め、勝負するのはやはり商品の味です。このような常識を破るところから、ビジネスチャンスが生まれるかもしれません。

当社ではAIに関するソリューションを多数手がけています。

ご興味がありましたらこちらからお問い合わせください。

参考記事:
注1 日本経済新聞 2019/10/3「体操の採点、AIで支援」
注2 日本経済新聞 2016/8/13 「米紙ワシントン・ポスト、リオ五輪に「AI記者」投入」

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執筆者プロフィール

Hu Ruiqi
Hu Ruiqitdi AI・コグニティブ推進部
中国出身。2014年留学生として来日。入社後は主にNode.js,javascriptの開発案件に参画。
社会科学研究科出身のため、身近なところにあるIT技術に興味を持つ。
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