リモートワークにおけるアジャイル開発の課題について

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はじめに

コロナ禍の影響で広まった新しい生活様式の一つがリモートワークです。

IT業界は基本的に場所を問わず、パソコン一台で仕事がなり立つ業種なので、比較的にリモートワークに切り替えやすいと思われていますが、それでもプロジェクトを進める上での課題が数多くあります。

筆者が所属するチームはアジャイル開発の主流(スクラム)を採用するプロジェクトが多いのですが、現在は現地でしかできないお客様との打ち合わせ以外、ほとんどの工程がリモートワークになっています。今回はリモートワークでスクラム開発を進める際の課題と、それを解決するための試行錯誤を共有したいと思います。

1.プランニング方法の変更

元々プランニングでは、チームメンバーが集まり、開発予定の機能の詳細について話し合い、そしてプランニングポーカーを利用して重要ポイントを決めていました。しかし、リモートになってから打ち合わせがすべてウェブ会議に変更となり、面と向かってポイントを出し合うことができなくなりました。そこで採用した代替案は、ウェブ会議で検討した後、社内のビジネスチャットグループでメンバーが同時にポイントを出し合う方式です。利用する道具の形が変わっただけで特に変化や不便は感じていません。また、筆者のチームはチャットを利用していますが、現在ネット上プランニングポーカー等のフリーツールも数多くあるので利用してもいいと思います。

リモートになったことで、プランニングにおいて前より改善された点もあります。以前は、プランニングで決められなくても、そばにいるメンバーにいつでも相談できるので、細かいシステム設計や質問すべき項目をついつい後回しにしてしまうことがありました。しかしリモートになるとその安心感がなくなる分、プランニングで細部まで検討を行うようになりました。また、リモートになる前よりも経緯や理由を詳しく文書化して記録しています。

2.開発段階におけるコミュニケーションの強化

スプリント全体を通してチームメンバーにとって一番不安を感じることは、開発段階におけるコミュニケーションの減少です。如何にこの不安を減らし、プロジェクトをスムーズに進められるようになるかについて、プロジェクトチーム内で試行錯誤を繰り返しました。

開発中にあった課題を一番質問しやすい場は進捗確認会(Daily)なので、最初はDailyの場を利用して、進捗確認の後、課題検討会を続けて行う方式を二週間程度試しました。それによりコミュニケーション不足の不安は減少しましたが、全員参加なので、メンバーそれぞれにとって必要でない部分も聞くことになり、作業時間が奪われることでストレスになったという意見もありました。

そのため、Daily後の課題検討は必要最小限の人数に絞り、場合によってはグループに分かれてそれぞれ会議することにしました。何週間か試すうちに、意外とウェブ会議は少人数で行うことで発言しやすくなることが分かりました。

また、開発過程ですぐ解決しないと進捗に影響を及ぼす課題の場合は、Dailyの場以外でも随時チャットやウェブ会議を利用して、積極的に質問して課題を解決することの重要性をチーム内で共有しました。それによりチーム内のコミュニケーションが一気に活発になりました。

3.レビューにおける関係者意見の収集

前述のように、ウェブ会議は少人数で行うことで参加メンバーが発言しやすい傾向があります。しかし、スプリントレビューはどうしても大人数の会議になってしまいます。そのため、最初の二、三回のレビュー会議では、参加者によっては全く発言しなかったり、遠慮してその場ではなく、会議後にメールやチャットで改善意見を伝えたりする方がいました。それでエンドユーザーの意見の収集に手間がかかりました。

この現象を改善するために、なるべくその場で関係者一人ひとりの意見を伺うことを意識するようにしました。プロジェクトチームによって方法が異なりますが、例えば事前にお客様も自由に操作できる環境を用意して、お客様自身の操作によって使い勝手を検証し、改善意見を事前に準備して発表するようにしたり、またはウェブホワイトボードを利用して意見を書いてもらうようにして、様々な手段を利用して参加者の意見が伝わりやすいように工夫しました。

ウェブ会議中のカメラ利用についても検討を行いました。参加者の反応が分かるようにオンにした方がいいという意見や、逆にカメラを気にしてしまい発言しにくいという意見もありました。最終的にはカメラの利用を強制せず、各々やりやすいほうを自由に選択することにしました。ただ、発言者にとって参加者の反応が分からず不安と感じることを解消するため、相づち程度の返事を積極的にすることを合意しました。

おわりに

如何でしょうか。まだ決して100点にはなっていませんが、アジャイル開発のプロジェクトで色々試行錯誤することによりリモートワークにおける課題は確実に改善されてきています。コロナ禍の慣れないリモートワークの中、プロジェクト課題を分析して改善するためには、チーム全員が団結する必要があります。ワンチームになって、プロジェクトをスムーズに進めるように頑張りましょう。

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執筆者プロフィール

Hu Ruiqi
Hu Ruiqitdi AI&データマネジメント推進部
中国出身。2014年留学生として来日。入社後は主にNode.js,javascriptの開発案件に参画。
社会科学研究科出身のため、身近なところにあるIT技術に興味を持つ。
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