サステイナビリティ・トランスフォーメーション(SX)に向けて持続可能な取り組みを考える-後編

こんにちは。情報技術開発株式会社 ソリューション企画・営業部の小淵栄子です。

SDGsが提唱されて以来、社会や産業はその目標に応じて変化しています。前編ではSDGsの意義と人々を得心させる方法について記述しました。

本記事では、SDGsが企業活動にもたらす価値と導入方法についてご紹介いたします。

3.企業活動におけるSDGsの価値

SDGsを取り入れることで、企業活動は単なる利益追求から社会貢献と経済成長を両立するモデルへと進化します。この考え方を具体化するのが、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が提唱した「CSV(共通価値の創造)」の概念です。CSVは、社会課題の解決を企業の中核的な事業として取り込むことで、経済価値と社会価値を同時に実現する手法です。

4.CSV経営の実例

コーヒーメーカーN社

かつて児童労働で批判された同社は、親の収入を安定させ、子供たちを学校に通わせる仕組みを構築しました。この取り組みにより、コーヒー豆の品質が向上し、事業の持続可能性が飛躍的に高まりました。

自動車メーカーT社

太陽光発電事業から始まり、脱炭素社会を目指す電動車(EV)の開発を進めることで、世界中の共感を得ています。その結果、販売台数は他メーカーと比べて少なくても、時価総額では圧倒的な成功を収めています。

これらの事例が示すように、SDGsは企業のブランド価値を高め、社会との共感を得る強力なツールとなります。また、企業の「Why(なぜ)」と顧客の「Why」が一致することで、両者の関係性がより強固になります。

5.SDGs導入の手法

企業がSDGsを事業に取り入れるためには、全社的な取り組みと具体的な計画が必要です。以下は、SDGsを導入する際に有効な手法の一例です。

SDGコンパスの活用

国連が提唱する「SDGコンパス」は、SDGsを企業活動に統合するためのフレームワークです。この手法を活用することで、SDGsを単なる理念ではなく、具体的な経営戦略として取り入れることが可能になります。

グローバル・レポーティング・イニシアチブ、国連グローバル・コンパクト、BCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)より

社内教育と啓発

社員がSDGsの意義を理解し、自分事として捉えることが重要です。全社的なSDGs教育を実施し、社員の意識改革を促進します。

当社では、SDGsに取り組むことを宣言し、社内教育と啓発を行っています。

情報技術開発株式会社「サステナビリティ」より

KPI(重要業績評価指標)の設定

各部門にSDGs達成に向けた具体的な目標を設定し、進捗を定期的に評価します。例えば、脱炭素に関する指標では、Scope1(自社の直接排出)、Scope2(他社から購入する電力の排出)、Scope3(サプライチェーン全体の排出)に分けた測定が有効です。

外部との連携

政府や国際機関、専門機関との連携を通じて、最新の知見やリソースを活用。さらに、SDGs関連の表彰に積極的に応募することで、ブランド価値を向上させる取り組みも行います。

パーパス経営へのシフト

企業の存在意義(パーパス)を明確にし、それを事業活動や製品開発に反映させることが、社員や顧客との共感を生み出します。このような経営手法により、企業は持続可能な成長を実現します。

将来を見据えたバックキャスト思考

従来の延長線上ではなく、目指す未来から逆算して現在の行動を計画する「バックキャスト思考」を採用します。この思考法を通じて、企業は2030年以降のビジョンを描き、それに向けた行動を具体化できます。

まとめ

SDGsは企業にとって単なる社会貢献の枠を超え、持続可能な経営戦略として不可欠な要素となっています。当社は、DX技術や革新的なソリューションを活用し、SDGsを事業に統合することで、社会からの共感を得るとともに、持続可能な成長を実現していきます。これらの取り組みにより、企業価値を高め、顧客や社会とともに新しい未来を築くご支援を目指しております。

参考文献
「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定されました (METI/経済産業省)

GX実現に向けた基本方針 ~今後10年を見据えたロードマップ~(経済産業省)
サステナビリティ | 情報技術開発株式会社
事例・資料集 | 情報技術開発株式会社
SDGsが企業にとってなぜ必要か(国連グローバル・コンパクト)
SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは? 17の目標ごとの説明、事実と数字 | 国連広報センター
Society 5.0 – 科学技術政策 – 内閣府
Home | 経団連 | KeidanrenSDGs
デジタル社会の実現に向けた重点計画|デジタル庁
Society 5.0 資料(内閣府)

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執筆者プロフィール

Obuchi Eikotdi ソリューション企画・営業部
大手電機・精密企業、健康・化粧品企業等を経て、当社に入社。これまで、実生活、仕事はSDGsの概念を心の芯にすえて自分の行動指針として来ました。数々の中小企業様のSDGs化支援を通じてその概念が重要であると感じております。また、SDGs保有資格を活かし、当社tdiグループのサステナビリティ活動に取り組んでいます。
・2020年 一般社団法人Beyond SDGs JAPAN SDGsビジネスマスター認定講師資格 取得
・2021年 一般社団法人Beyond SDGs JAPAN SDGsビジネスアイディア創出コンサルタント認定資格 取得
・2022年 一般社団法人Beyond SDGs JAPAN SDGs経営導入支援パートナー認定資格 取得

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