AWS 認定ソリューションアーキテクト – プロフェッショナルの新試験に合格した話

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はじめに

AWS認定の試験のうち、最難関との噂もあるAWS 認定ソリューションアーキテクト – プロフェッショナル<AWS Certified Solutions Architect – Professional(略称:SAP)>試験に合格しました。2回落ちて、3回目で合格しました。勉強期間は99日。途中、仕事が忙しかったり体調崩したり遊びに行ってたりしたので正味80日くらいだとは思いますが、長い戦いでした。

せっかくここまで努力して合格したので、私が実施した勉強方法を公開したいと思います。たくさんの方法がある中の一つの例として参考にしていただければと思います。

試験が難しい理由

試験概要ついては色々なところで説明されているので、あまり詳しくは書きません。試験について興味のある方はAWS公式HPにある「AWS 認定ソリューションアーキテクト – プロフェッショナル」をご確認いただければと思います。

見るのが面倒な方は「AWSを使ったサービスの設計に関する試験(の難しい方)で、問題数75問、試験時間170分、受験費用は3万円+税」とだけ押さえていただければ十分かと思います。

SAP試験は2018年8月に新試験が発表され、2019年2月に旧試験が廃止となったことによって完全に試験が切り替わりました。新試験は旧試験よりだいぶ難易度が上がり、合格率が下がったという噂です。私は旧試験で受験したことがないので、難易度がどれくらい上がったのかはよくわからないのですが、この試験が難しい理由の一つが「試験問題のボリュームが多い」だと思います。

AWS公式ページに掲載されている、試験のサンプル問題を見てみましょう。(オリジナルは英語ですが、翻訳したものを掲載します。)

機密性の高い情報を取得してユーザーに表示するWebサイトを構築しています。サイトが受信するトラフィック量はすでに分かっており、変動することはありません。このサイトはクライアントとWebサーバー間の通信はSSLを活用して保護します。あなたはサイトの性質上セキュリティをとても心配しており、SSL秘密鍵が事故であれ意図的であれ環境の外に流出することがないようにしたいと思っています。さらに、サイトで表示するデータは暗号化されたEBSボリュームに保存されますが、Webサーバーのログにいくつかの機密情報が含まれています。したがって、あなたの会社の従業員によってログは復号化のみが可能なように保存する必要があります。これらのアーキテクチャのうち、どれがすべての要件を満たしていますか?

A)Elastic Load Balancingを使用して、Webサーバーのセットにトラフィックを分散します。 SSL秘密鍵を保護するには、キーをロードバランサーにアップロードし、SSLトラフィックをオフロードするようにロードバランサーを構成します。Webサーバーは、ランダムに生成されたAESキーを使用して暗号化された一時ボリュームにログを記録します。

B)Elastic Load Balancingを使用して、Webサーバーのセットにトラフィックを分散します。TCP負荷分散を使用します。ウェブサーバーが起動するときにプライベートAmazon S3から秘密鍵を取得するようにを設定します。 Amazon S3サーバー側を使用して、WebサーバーログをプライベートAmazon S3バケットに暗号化して書き込みます。

C)Elastic Load Balancingを使用して、Webサーバーのセットにトラフィックを分散します。AWS CloudHSMを使用してSSLトランザクションを実行し、ウェブサーバーは、Amazon S3サーバー側暗号化を使用してプライベートAmazon S3バケットにログを記録します。

D)Elastic Load Balancingを使用して、Webサーバーのセットにトラフィックを分散します。ロードバランサーでTCP負荷分散を実行します。AWS CloudHSMを使用してSSLトランザクションを実行します。Webサーバーはランダムに生成されたAESキーを使用して暗号化された一時ボリュームにログを記録します。

いかがでしょう?相当なボリュームですよね。本番ではこんな感じの問題を75問解くのです。ひー!

合格の秘訣

SAP試験に合格した人の体験記をネットで調べると、「AWS公式ドキュメントを読み込むのに勝る勉強法なし!」とか「実際にAWSのサービスを使ってみるのが一番実力がつく!」と書いてありますし、それ自体は否定しません。ですが、それだけでは合格出来ないと思います。

この試験では「大量に問題を読んで素早く解答を導き出す」ことが出来ないと合格できません。いくら頭にAWSの知識が詰まっていても、問題をゆっくり読んで、じっくり考えているようだと合格できないようになっているのです。そのため、私は「本番と似たような雰囲気の問題を数多く解き、素早く回答する練習をする」を心掛けて勉強を進めました。

長文問題を素早く読み下し、素早く正解にたどり着くには、ある程度慣れが必要です。逆に、慣れてくれば問題文を途中まで読めばなんとなくこの先に何を問われるかがなんとなく予想できるようになってきますし、解答の絞り込みも早くなります。

ではどこで本番と似たような雰囲気の問題を入手するか?ということなのですが、私はオンライン教材(講座)を活用しました。その中でもオススメはUdemyです。
Udemyは誰かが作ったオンライン教材(講座)が購入できる海外のサイトです。
サイト内を「AWS Solution Architect Professional」で検索すれば、提供されている講座が引っかかります。
それらは「講師が試験に出るポイントを説明する動画集」と、「問題集」と、「どちらもあるハイブリッド型」の3種類がありますので、よさそうな問題集を購入します。

  • 評価の高い(レビューが★4.0以上)のものを買う
  • 頻繁に開催されるセール期間中に買う(1講座1400円前後で買える)

講座は英語のものしかありませんでしたので、 Google Chrome でサイトを開き、画面を右クリックして「日本語に翻訳」して日本語化しました。本番の試験でも「英語を機械翻訳したような日本語」で出題されるので、本番の雰囲気に慣れることができるという点でも大変役に立つと思います。ちなみに本番の試験では、日本語の問題でも画面の「英語」ボタンを押せば原文(英語)が確認できますので、日本語が微妙な場合は切り替えてみるといいと思います。私も本番試験で何回か切り替えました。(この翻訳品質はなんとかしてほしい…)

私はUdemyで問題集を複数購入し、大量の問題(数えてみたら1000題以上ありました)をひたすらに解きました。
具体的には以下の通りです。

  • 本番と同じ75問を2時間半で解く(見直し時間を30分程度取ることを想定した解答スピードを体で覚える)
  • 間違えた問題は解説をよく読み、システム構成図や重要だと思った箇所をこまめにノートにまとめる
  • 正しい答えが選べても、理解が不足していると思ったら、AWSの公式ドキュメントやブログ記事等で知識を補い、それもノートにまとめる
  • 以上を繰り返す

インプットとアウトプットを繰り返す、王道の勉強方法です。最初はほどんどアウトプットできず、しんどかったです。知識が増えて問題を解く勘所がわかってきたころにやっと楽になってきました。

受験本番の注意

さて、オススメの勉強方法をお伝えしたところなのですが、もう一つだけ大事なことをお伝えしたいと思います。
それは「試験は体調を万全にして臨むこと!」です。

この試験は集中力と気力と体力の勝負です。本番試験では3時間近く問題を解き続ける必要があるわけですから、体調が悪いと実力が発揮できません。睡眠不足は絶対避けましょう!前日は早く寝ましょう。あと、風邪を引いて頭が回らない、トイレに行きたくて集中できなかった等の失敗をしないように、受験日の一週間前から体調管理を万全にしておきましょう。
ちなみに私の場合、2回目の受験の前日になぜか寝付けず、ほぼ徹夜状態で試験に臨みました。結果は当然のようにボロボロ、初回受験時よりもスコアが悪くて大変落ち込みました。

おわりに

振り返ってみれば「とにかく問題解いて分からないところを調べる!打つべし打つべし!」という体育会系的勉強法を実践していた私ですが、途中で「もっと効率良い勉強法があるのではないか」と思い立ち、勉強方法から調べ直した時期もありました。結局は「ダメだ。自分にはこの方法しかない」ということで落ち着きました。ちょっと遠回りしてしまったかもしれません。

今後についてですが、SAP試験が受かったから終わりではなく、むしろプロとしての始まりだと思っているので、試験対策を通して得た知識を仕事にどんどん生かしていければなぁ。と思っています。

あと、個人的にはDevOps試験も合格したいとも思っています。DevOpsはSAP以上に情報が少ないようなので、苦労しそうですが、頑張りたいです。この記事がどなたかのお役に立てれば嬉しいです。

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執筆者プロフィール

Chiba Kumiko
Chiba Kumikotdi デジタルイノベーション技術部
開発プロジェクトの技術支援や技術の検証に従事しているインフラエンジニアです。Unix/Linuxを扱う機会が多く、構築から運用保守まで一通り携わった経験があります。好きな言葉は「試験運用」。
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