目次
1.はじめに
OutSystemsは、迅速かつ効率的にビジネスアプリケーションを開発するためのローコードプラットフォームです。OutSystemsを使用すると、開発者はコーディングをせずに、直感的なインターフェースを使用してアプリケーションを作成できます。より効率的にアプリケーションを開発・展開するための各種ツールも提供されており、そのツールの中にはAIを利用したものがあります。
それらを使用することで開発者はより迅速かつ高品質なアプリケーションを効率的に生成したり、OutSystemsのベストプラクティスに沿ったアーキテクチャを構築できるようになります。そのため、DXが求められている今、企業・組織は、ローコード開発を取り入れることによって、ビジネス環境の激しい変化に対応でき、ビジネス競争力を高めることができます。
本稿では、ローコードがさらに強化され、より迅速かつ効率的にアプリケーションの開発部分をサポートする「AI-Assisted Development」についてご紹介していきます。
2.AI-Assisted Developmentとは
AI-Assisted Developmentは、Service Studioへ組み込まれている機能です。
図1のようにロジックフローの作成時に、次に配置すべきウィジェットを推察し、サジェスト(提案)してくれます。
図1 ウィジェットのサジェスチョン(提案)イメージ
利用できるシーンや提供している機能の概要は以下になります。
<利用できるシーン>
- ロジックフロー(Client Action、Server Action)で使用
<機能概要>
- フローを使ったロジック作成時に、OutSystemsが次に配置すべきウィジェットを推察し、サジェスト(提案)する
AI-Asisted Developmentを利用するためには、以下の要件を満たしている必要があります。
前提条件:Service Studio Ver11.6.9以降(2021年11月20日リリース)
また、AI-Assisted Developmentを有効にするため、以下の設定を確認します。
- Service Studioの[Edit]メニューに移動して[Preferences]を選択します。
- [Preferences]ウィンドウの[Code Mentor]セクションで、[Enable logic suggestions in your flow]と [Enable data manipulation with natural language]のオプションの状態を確認します。
(2024年05月時点 Service Studio Ver11.54.57にて)
図2の状態となっていれば、利用が可能です。
図2 Service Studioメニュー内オプション
AI-Assisted Developmentが使用できるかどうかは、フローのノード(矢印)にマウスを合わせることで確認できます。※図3を参照
図3 Service Studio ロジックフロー1
実際にサジェスチョンを表示させる方法は2つあります。
1つ目は、青い丸をクリックすることで、表示されます。
図4の場合、「Server Action」がサジェスチョンされています。※図4を参照
図4 Service Studio ロジックフロー2
2つ目は、フローウィンドウでコネクタを少し長めにドラッグすることでサジェスチョンが表示されます。図5の場合、「End flow」、「Assign」、「Server Action」がサジェスチョンされています。
図5 Service Studio ロジックフロー3
サジェスチョン以外のウィジェットを表示させたい場合は、サジェストされたウィジェットの上部に表示される検索BOX内にウィジェット名を入力することによって、サジェスチョンされる部品を追加で表示させることもできます。図6の場合「End flow」がサジェスチョンされていますが、「Assign」を追加したいので、図7のように、検索BOXに「A」と入力してみます。
図6 Service Studio ロジックフロー4
図7 Service Studio ロジックフロー5
「A」という文字を含む部品(この場合「A」が含まれるAggregate等)と「Assign」がサジェスチョンされました。
3.AI-Assisted Developmentを使って開発してみた
では実際に「Server Action」の初期状態のロジックフローでAI-Assisted Developmentがどのようにウィジェットをサジェスチョンするかを見ていきます。※図8を参照
図8 Service Studio ロジックフロー6
「Aggregate」や「Entity」の更新といった、データ操作に関するものや、「Server Action」や「Assign」といった基本的な部品のサジェスチョンがされました。『Get Users』の「Aggregate」を配置して、サジェスチョンしてみます。※図9を参照
図9 Service Studio ロジックフロー7
「For each」、「Aggregate」、「Assign」がサジェスチョンされました。
これは直前に配置した部品が、『Get Users』の「Aggregate」なので、次に考えられるロジックのパターンとしてAI-Assisted Developmentが「For each」や他の「Aggregate」、「Assign」をサジェスチョンしています。
また、直前に配置した『Get Users』の「Aggregate」がサジェスチョンされないのもAI-Assisted Developmentの機能です。同じように初期状態で「Server Action」を配置して、サジェスチョンしてみます。※図10を参照
図10 Service Studio ロジックフロー8
「Server Action」や「Aggregate」がサジェスチョンされました。『Get Users』の「Aggregate」を配置した場合とサジェスチョンされた部品が異なっています。開発者が直前に選択して配置した部品ごとに、AI-Assisted Developmentが次に考えられるロジックをサジェスチョンしています。このように、開発者の助けとなる部品の配置をフロー上にサジェスチョンしてくれます。
4.AI-Assisted Development利用のメリットとまとめ
AI-Assisted Developmentを利用すると、OutSystemsの開発初心者でもサジェスチョンされるウェジットを元にロジック作成しやすくなります。また、OutSystemsの開発初心者のみならず、多くの開発経験を持った方でも作業が効率化できるのではないでしょうか?
OutSystemsというローコード製品の優位性をさらにアップグレードし、高品質のアプリケーションが作成できます。そしてAI-Assisted Developmentの利用のメリットは、開発者のさらなる生産性の向上やアプリケーションの開発が容易になることです。そのことにより、ビジネス上における改革がさらにスピードアップし市場競争力が高まることではないでしょうか?
本稿では、OutSystemsが提供しているAI機能の中の「AI-Assisted Development」をご紹介しました。これらの機能をぜひ、皆様の業務で利用していただけると幸いです。
tdiはローコード開発に力を入れていますので、こちらにお気軽にお問合せください。
OutSystems® とロゴはOutSystems-Software Em Rede S.A.の登録商標です。
執筆者プロフィール
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最近のお気に入りの開発ツールはローコード開発ツール。
It is never too late to learn.(学ぶことに年を取りすぎているということはない)のマインドで日々精進中。