DX推進を加速させる人材育成 ~RPAを”利用する”から”活用する”へ~

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はじめに

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、すでに社会に浸透しており、ご存知の方がほとんどだと思います。
実際に、DX推進に取り組んでいる、取り組み始めたという企業は多いと思いますが、
DX推進をする中で、様々な要因で思い通りに進んでいないと感じている企業も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、DX推進を加速させるために必要とされている「デジタル人材」の確保について、
「RPA」を活用した教育により実現できることをご紹介させていただきます。

1.DX推進・デジタル人材が求められる背景

近年、あらゆる産業においてDXを推進していくことが叫ばれています。
「2025年の崖」で問題されている通り、多くの企業でレガシーシステムの維持に多くの人的リソースとコストが費やされ、戦略的なIT投資にリソースを割けなくなるともいわれています。また、爆発的に増加するデータを活用しきれず、デジタル競争の敗者となる恐れがあるともいわれています。この問題の解決策として、レガシーシステムを刷新し、業務プロセスの見直しからの業務効率化を行い、「DX推進により、最先端のデジタル技術を活用して、ビジネスに変革を起こす」ことで、企業競争で生き抜いていくことが求められています。

DX推進には、デジタル技術を活用でき、ビジネスに精通している「デジタル人材」が必要不可欠ですが、「生産年齢人口の減少」や、「職業別人材供給のミスマッチ」などの影響を受け、「デジタル人材」が不足すると見込まれています。

このことから、将来さらに需要が高まっていく「デジタル人材」の確保が急務となります。

2.デジタル人材の確保

では、不足している「デジタル人材」を確保していくにはどうしたらいいのかを経済産業省のガイドラインでは、下記のように記載されています。

「DX人材を確保するということは、各事業部門において、業務内容に精通しつつ、デジタルで何ができるかを理解し、DXの取り組みをリードする人材、その実行を担っていく人材の育成・確保」
出典:【デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン】(2018年経済産業省より)

デジタル人材の確保には、「社内人材の育成」という方法が有効といわれています。

当社では、社内人材をデジタル人材へ育成する方法として、DXを推進するためのデジタル技術のひとつであるRPAを活用することが有効な手法の一つと考えています。
では、なぜRPAを活用することで「デジタル人材の育成」につながるのかを解説いたします。

3.デジタル人材の育成 

デジタル人材は、最先端のデジタル技術を活用して、企業に対して新しいビジネスを提供できる人材です。
【アーキテクチャ設計力】【ITスキル】【プログラミングスキル】【論理的思考】のスキルを使い、最先端のデジタル技術を理解・活用できるようになる必要があります。
また、【市場を理解し、読み解く力】【経営的視点】【発想力】のスキルを使い、企業や顧客を改革するような新しいビジネスを作り出し、【折衝力】【企画構築力】【提案力】のスキルを使い、企業や顧客にそのビジネスを広めて価値を生み出していく必要があります。

デジタル人材に必要とされるスキルは、下記の図にある10のスキルは最低限必要だともいわれています。

これらのスキルの内、【アーキテクチャ設計力】【ITスキル】【プログラミングスキル】【論理的思考】の4つのスキルに関しては、RPAを理解・活用できるようになることで、身に着けることが可能です。

①アーキテクチャ設計力

デジタルを活用する上で必要となるシステムの骨格・作り方を定めることができるスキルを指します。
RPAの場合は、自動化する業務フローの構造や作り方を事前に定義することを指します。
業務の自動化に向けて、どのような業務フローであればより効果的な業務を実現することができるか、どのようなロジックを組み込めばいいのかなど、自動化後の業務フローを事前に設計することができるようになります。
また、保守性の高いフローを目指すために、障害が発生した時に備え、事後調査や分析の為に、どうようなログを出力すればいいのかを理解できます。

②ITスキル

業務上の要望をかなえるために、どの部分をシステム化すればいいのか、RPAの場合は、業務のどの部分を自動化すべきなのかを判断できるスキルのことを指します。
自動化する業務をヒアリングした際に、業務フローにおいてRPAが担う部分、システムやアプリケーションに任せる部分、人が行う必要がある部分を見極めることができます。

③プログラミングスキル

一般的には、Java等のプログラミング言語を使いこなせるスキルを指します。
RPAの場合は、開発ツールをつかいこなし、代行させたい業務を繰り返しや条件分岐処理等を使い組み込むことができるスキルを指します。
また、プログラミング言語と異なり、ツールで提供されている部品の並べ方と設定方法を理解すればよいので、比較的容易に開発ができるようになります。

④論理的思考

問題に対して、根拠を筋道立てて考え、解決することができるスキルを指します。
RPAの場合は、自動化したい業務フローの構造を、ツールを使ってどう実現できるのかが理解でき、ロジックを組み込むことができるようになります。
また、ロボットが稼働中に発生したエラーに対して、根拠と仮説を立て、原因特定と解決策を導き出すことができます。

このように、RPA開発を通して、デジタル人材として必要とされるスキルを求められ、習得につながっていきます。

この習得したスキルにより、普段の業務に役立てることができると考えます。

①アーキテクチャ設計力を身に着けることにより、利用しているシステムの構造を理解できるようになり、また、デジタル技術を活用することにより、業務を改革させていく方法を考える力がつきます。

②ITスキルを身に着けることにより、自身の業務を分析するため業務フロー図を描くことができるようになります。RPAでは実現できない箇所を、別のツールで実現できないかなど考え、案を立案することができるようになります。

③プログラミングスキルを身に着けることにより、業務変更によるロボットの改修を自身で行えます。
また、別のツールで開発を行うときのアドバンテージになります。

④論理的思考を身に着けることにより、業務の課題を解決するための方法を導き出すことができるようになります。また、他の人に自身の業務の内容や課題を論理的に説明することができます。

4.RPA開発ステップからスキルが身につくタイミング

RPAの開発ステップから身につくスキルを見ていきます。
RPA開発では、下記図の順序で作業を進めていきます。

①業務のヒアリングをする

改善余地のある業務をヒアリングして、現在行われている作業の目的やIN/OUTデータなどを明確に理解する作業

➁作業手順を見直す

ヒアリング結果から、人が行っている作業の中で、RPAがそのまま作業を踏襲するべきなのか、別の手法をとるべきかを考え、今後の運用方法を決めていく作業

③自動化対象の範囲を決定する

どの作業範囲をRPAが代替するかを決定する作業で、作業範囲をRPA、人、アプリやシステムのいずれかが担うかを明確化する作業

④業務の手順を可視化する

自動化範囲及び前後の作業をさらに詳細なステップに切り分けて、どんな操作をする必要があるのかを明確にする作業

⑤実装方法を決定する

RPAツールを使い、どの様に実装すればいいのか事前に設計をする作業

⑥業務ロジックを実装する

RPAツールを使いこなし自動化ロジックを組み込む作業

⑦開発したものをテストする

実装した自動化業務が要件通りに稼働するかを確認する作業

それぞれの作業を行うにあたって、必要なスキルは異なります。
例えば、「③自動化対象の範囲を決定する」には、【ITスキル】をつかい、対象業務を行うことが本当に必要なのか、別の部署が同様なことをしてるか、重複している作業がないのかを模索していくことが求められます。
また、重複している作業をしている場合、【アーキテクチャ設計力】をつかい、業務を組み立てる上で省略できるにはどういう構造にすればいいか設計にする必要があります。

RPA開発の各作業において「デジタル人材に必要なスキル」が求められ、使うことにより身についていきます。

このことから、RPA開発は、デジタル人材として必要とされるスキルの一部を習得するための「はじめの一歩」として最適なソリューションです。

おわりに

いかがでしたでしょうか。
RPAは、業務を自動化し、業務効率を向上させるだけでなく、
理解・活用できるようになることで、DX推進を担う「デジタル人材」の育成につながることを、理解いただけると嬉しいです。

ぜひ皆さんも、業務の自動化をRPAを活用して実現し、業務の生産性向上とデジタル人材に近づき、DX推進を加速させていきましょう。

 

お問い合わせ先

執筆者プロフィール

Agata Ryuuki
Agata Ryuukitdi RPA推進室
RPA関連の開発および運用を経験。
最近は、Microsoft Power Platform製品のPower AppsやPower Automateをメインに、開発及び教育を担当。
Microsoft 365 Copilotに期待と興味があります。
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